detour | 2022
Type :VR/sound / Animation
Member :Yusuke Takahashi(VR Artist) / Shoya Maruyama(Sound Artist) | IEEIR

ある時期の私の記憶を空間と音を使って体験可能なものにすることを試みました。空間は私が数カ月前まで実際に住んでいた都内のアパートです。その空間をバーチャル上で再現し、任意に分割しました。各空間からは私の記憶にまつわる音が聞こえます。聞こえてくる音の中には私が発した音もあれば、外部から聞こえた音、聞こえたように感じた音もあります。各空間とそこにまつわる断片的な音から私の『記憶』を体験してほしいと思います。また、私たちはそのような断片的な音を再構築し1つの楽曲を作りました。本来であれば、関連のない音によって作られたこの楽曲は本作品内の空間を体験することによって、はじめて1つのまとまりのある音として立ち上がります。そのような音と空間の相互作用を生み出すことを意図しました。『客観的で正確な記録』が力を持つ現代において『個人的で曖昧な記憶』にはどのような可能性があるでしょうか?本作はその問いを探求するための拠り所となるものです。
私たちはキーツールとしてVRを選びました。私たちはVRを内省や集中のための装置だと捉えています。私たちは、VR空間をベースに音楽体験の新しい形式を模索しています。本作は4つの要素(音楽・音楽を構成する音・VR空間・アニメーション)で構成されています。本作ではVR空間内の1本道をゴールまで歩いていくというシンプルな作りになっています。道をまっすぐ進んでいくと道の横に部屋が現れます。その部屋には音楽を構成する音が配置されており、プレイヤーはその音を聞きながらゴールに向かいます。また、特定の行動によってアニメーションが現れ、部屋とは異なった形式の音を聴くことができます。楽曲はそれらの音で構成されています。個々の音に注意を向けることで楽曲全体の印象や聞こえ方に変化を起こすことを試みています。本来であればリニアな音楽を聴くという体験を寄り道可能なものにすることで鑑賞者をプレイヤーにし、この空間自体が音楽プレイヤーのオルタナティブになることを目指します。
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