behind | 2021
Type :VR/Film/Animation
Member :Yusuke Takahashi
AWARD&EXHIBITION : THU Sony Talent League 2021 Top10 finalist / NEW VIEW AWARD 2021 finalist / NEW VIEW FEST 2022(exhibition)
『本作では二つの背後を描いた。一つはスクリーンの背後、もう一つは物語の背後である。』
本作ではVR・映画・3Dアニメーションを組み合わせることでVR映像表現の新しい形を模索しようと試みた。プレイヤーの体験はHMDをかけた状態で映画を見るところから始まる。そこでは従来の映画と同様にスクリーンに平面的なスクリーンに映像が流れている。一般的な映画と異なる点は時間が経ち、特定のトリガーが引かれることでプレイヤーがスクリーンの背後(=見ていた映画の世界内)に移動するところにある。そこではスクリーン上で見ていた映像の世界がVR空間として立ち上がっており、プレイヤーは異なる視点から物語を見ることが可能になる。映画館という空間とスクリーンの背後に広がるVR空間を行き来しながら物語を読み進めることがこの作品の構造である。
本作では白と黒のミニマルなアニメーション表現を用いることで物語の表側(=白い生き物)と裏側(=黒い人間)を等価に描くことを試みた。スクリーン上で主として描かれる白いキャラクターは、VR空間では黒い人間の活動が描かれるキャンバスとなる。このように表側:スクリーン側 - 裏側:VR空間がお互いの背景となる形で共存している。
本作では森林で暮らす白い生き物の背後で無遠慮に進行する工業化を描いた。白い生き物はそれら背後で起こる工業化の影響を徐々に受けていく。しかし、これらは単に人間の工業化を非難しているわけではない。白い生き物の背後に人間の営みがあるように黒で表現されている人間にも背後が存在する。物事の背後を想像するきっかけとなること、それが本作の狙いである。