2024 年夏、気候変動による猛暑になす術のない日本へとやってきたのは、最先端技術を結集し循環型社会の実現を目指し製造された「Perry Ex Machina」。宇宙船地球号を操舵し、グローバル規模の生態系を人工的に循環させる「機械仕掛けのペリー」が、日本近代技術史の始点「御台場」に来航する。

「サーキュラーエコノミー」がトレンドワードになって久しい。近代産業革命以降、自然や地球の循環システムから乖離してきた人類は、今一度「循環」へと戻っていく道の途上にある。やって来たところへ帰る、という意味では、この道もまた循環を成している。しかし、近代科学技術をひと度獲得した人類が「純粋な自然」へと回帰することなど叶わず、テクノロジーによる「制御された循環」を実現することで自然と人間社会とを統合しようとしている。そんな今日的状況においてこそ、船のような景観を持つ日本科学未来館を片手に掲げたスマートフォンの窓ごしに眺めることで、日本近代化のスタート地点たる「黒船」と未来のグローバルな循環型文明の実現たる「宇宙船地球号」というふたつの「船」が接合した、過去とも未来とも取れるイメージを幻視することになるだろう。