Playable Player for silver wave(s) | 2020

Type :Game/Virtual Space/sound art

Member :Yusuke Takahashi(Space Design+Game Design) / Akashi Yoshida(Sound Design) / Sho Suzaki(Game Design)

AWARD&EXHIBITION : THU Sony Talent League 2020 Top15 finalist / AVYSS IMAGINARY LINE @Contact Tokyo (LIVE / VJ)

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 本作『Playable Player for silver wave(s)』はゲームエンジン:Unreal Engine 4 を使用して制作された、たったひとつの楽曲を無限のパターンに再生する「音楽プレイヤー」である。「Playable Player」において、一人称視点のプレイヤー(遊び手)は限定された3次元空間のなかを自由に歩くことができる。部屋、町、森の3つの空間内に配置された様々なオブジェクトには、バンド・aiverの楽曲『silver wave』に使用されている音源トラックが散り散りに配置されており、Unreal Engine 4のシミュレーションによりプレイヤーとオブジェクトとの位置関係に応じて、反響の仕方や音量が変わっていく。また半数以上の音源は、オブジェクトに視線を向けることで音量が上昇する特性があり、プレイヤーは探索するなかで指向性マイクを片手にしているかのごとく、遠く聞こえなかった音を発見したり、音源の位置を特定することができる。原曲『silver wave』の再生時間である3分5秒間のプレイングの後、ゲームは自動的に強制終了され、デスクトップ上にプレイ中のサウンドを記録した3分5秒のmp3ファイルが生成される。

 この現代に我々が「音楽を聴く」というとき、主に電子音楽/生の音楽などの制作方法に関わらず、録音された楽曲を「再生する(Play)」ことを指すかもしれない。その限りにおいて、「再生(Play)」とはアーティストがかつて楽曲の完成形として収録した一つの演奏形式・時間の「再演(Replay)」であり、「遡ることも分岐することもないたったひとつの演奏」に付き合うことだと言える。ゲームそのものを音楽プレイヤーとして構成するとき、音楽プレイヤーはゲームからなにを獲得するだろうか?
 一般的に、ゲーム上のプレイヤー(遊び手)は作り手の制作した空間とストーリーテリングのなかで、「主人公」(=主体)として「自由に」振る舞う。それは手放しの自由ではなく、制作者から負わされた主人公性や制約された空間との対話的な自由だが、多くのゲームで、グリッチ(ゲーム内のバグ)を利用したプレイ動画やグリッチの発見それ自体を目的としたプレイヤーが溢れかえる昨今、そうした「対話」を放棄する可能性すらもプレイヤーには残されていることがわかる。つまり、ゲームのプレイヤーはプレイすることにより、制作者の定めた有限な世界に介在し無限通りの鑑賞= 体験パターンを生み出すことができるのだ。「Playable Player」は、こうした根本的に異なる体験であるゲームのプレイ(Play)を音楽の再生(Play)に導入する、もっと言えば統合することを目指したゲームであり、音楽プレイヤーだ。遊び手(Player)は再生機(Player)となり、自由な探索(Play)を通して不定形な楽曲をそれぞれの分岐する演奏パターンとして再生(Play)していくのである。

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