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Play/play/PLAY  | 2023

Type :video/game/sound

Member :Yusuke Takahashi

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本作『Play/play/PLAY』は自作ゲーム『制作ループ症候群』を自らプレイし、それを録画することで10分56秒の映像として固定化したものである。ゲーム内の空間は自宅を3Dモデル化したものをベースに作成されている。また、ゲーム内の世界は他作品の制作過程で生まれたデータやメモ、日記や録音物などから構成される。つまり、このゲームは極めて個人的な要素から構成された私的な記録という側面を持つ。

 その中で私自身がゲームプレイを通して”私の日常”を演じることで、個人的な日常像を立ち上げ、鑑賞者に提示する。それによって、鑑賞者が「映像にうつる限りなく個人的な日常」と自身の日常を照らし合わせることで、鑑賞者自身の日常の中にある異質な部分に目を向けさせることを目指す。また、ゲームの録画にあたってプレイ中に実空間で鳴った音も合わせてパッケージ化することで、入れ子構造を作り出し、作者-作品-生活が侵食しあった像を立ち上げることを試みている。

本作におけるプレイについて
ゲーム配信の映像はやや特殊な映像形態である。鑑賞者が開始ボタンを押すことで映像を再生する(Play)という点に関しては映画やドラマなどの時間軸が決まった映像形態である。ただ、ゲーム配信の鑑賞者はその映像の中でプレイヤー(=配信者)の決定行為(play)を見ているとも言える。その点を考慮するとゲーム配信映像は固定化されているとはいえ、その映像内にゲームが持っている選択可能性をひそかに含んでいると言える。かくして、鑑賞者には画面に表示される映像だけでなく、映像の裏に隠れる明示されない選択可能性について想像を巡らせる余地が生まれる。またこのとき、映像と想像が互いに作用しあうことで鑑賞者は「ありうるかもしれないゲーム内世界」を自らの想像の中に立ち上げることができる。この点こそが、自身がプレイヤーとなってゲームを行うこと(play)との最大の違いであり、ゲーム配信映像が持つ特有の表現可能性であると言えるかもしれない
 本作では、上記を踏まえ自作ゲームを自身のプレイによって映像とし
て固定化することによって鑑賞者に「ありうるかもしれないゲーム内世界」を立ち上げさせることを狙う。自作ゲーム『制作ループ症候群』は作者である私の私的記録という側面を持つため、鑑賞者による「ありうるかもしれないゲーム内世界」への想像は現実にまで飛躍する可能性を持つ。このような手法をとることで、本作が意図する作者-作品-生活の境界を曖昧にすることを加速させる。そして、この自作ゲームを自らプレイするということ自体が自分自身を演じること(PLAY)であるといえる。

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