(UN) COMMON SENSE | 2024
Type :Game/Virtual Space
Member :Yusuke Takahashi/ Ko Ishihara / Shoya Maruyama
AWARD&EXHIBITION : SIW2024
本作はポップなSF対話の場となることを目指すSFツッコミゲームのプロトタイプです。実在する都市を舞台とすることを一つの特徴としており、本作では渋谷の一画をゲーム内に再現しています。そこに”コテコテな”SF要素を詰め込むことで渋谷の街を「珍未来都市」に変貌させています。ゲーム内に置かれたオブジェクトや広告、キャラクター同士の会話など様々なところにSF要素が入り込み「珍未来都市 - 渋谷」を作り出しています。
プレイヤーは「珍未来都市 - 渋谷」を探索しながら、都市にツッコミを入れていくことができます。そのツッコミにはイイネがついたり、賛同・反論の再ツッコミが入ることがあります。またプレイヤーは他プレイヤー同士の掛け合いを読むことができ、その対話の中に参加することが可能です。本作はそのような日常のやりとりのようなポップなSF対話を誘発すると同時に、そのやり取りをアーカイブする場所として機能します。
加速度的に複雑になっている現代においては、指針となるような絶対的で巨大な未来像を描き出すことは非常に困難です。そこで私たち個々人がSF的な想像力を持ち、小さな未来像を描き出し、対話を通してそれらを再帰的に成長させていくことで、少しずつ未来へアプローチすることはできないでしょうか?
本作は、ポップなSF対話の場をつくることが上記のような未来へのアプローチの入口になるという仮説のもとに制作されたゲームです。本作では、”コテコテな”SF要素へのツッコミを通してSFの世界に入り込んでいきます。科学知識やSFへの慣れなどによるSFディバイド(未来格差)を気にすることなく、誰もが気軽に参加できる場になることを目指しています。それによって参加の敷居が下がるだけでなく、対話の中により個人的な視点から見たSF観が混ざってくることを期待しています。
また、本作ではSF警察とSFレスキューという二つの役割を用意することで対話の充実を試みます。SF警察とは、SF作品や未来を夢想することに対して厳密なリアリティを求める批評家やファンを指します。SFレスキューは、SF警察が指摘する現代科学では誤っていたり矛盾が生じてしまう描写をバックキャスティング的発想で救おうと試みる存在です。本作はSFのS(Sciene)に重きを置くSF警察とSFのF(Fiction)に重きを置くSFレスキューの掛け合いに可能性を見出しています。双方の掛け合いの中で知識と知恵が混在しながら新たなSF的パースペクティブが広がることを目指します。